誤嚥性肺炎とは?歯科治療で防ぐ事ができる高齢者の病。

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誤嚥性肺炎とは?歯科治療で防ぐ事ができる高齢者の病。

 肺炎は日本人の死因第3位(2013年~2015年)の疾病です。特に高齢者は肺炎で亡くなることが多く、肺炎で亡くなった方のうちの90%以上が75歳以上となっています。

 その中でも特に注意すべき肺炎が「誤嚥性肺炎」です。高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥性肺炎とも言われ、再発を繰り返すことも多い治療困難な疾病です。誤嚥性肺炎とはどのような疾病なのか、どのような治療ができるのか、そして予防法があるのか等について探っていきましょう。

誤嚥性肺炎とは

 食べたものは咀嚼してから食道へと送られますが、誤って気道に入ってしまうこともあります。健康な方なら気道に食べ物が入っても咳き込むことで吐き出せますが、高齢の方や体力が弱っている方、吐きだす力が弱い方は、気道に誤って入ったものを吐き出すことができません。

 そのため、気道から肺へと食べ物が送られることになり、食べ物や飲み物と一緒に細菌が肺へと入り込んでしまうことになるのです。このようにして肺に細菌が入り込み、肺が感染症に罹患してしまう病気を「誤嚥性肺炎」と呼びます。

唾液や吐しゃ物によって細菌が肺に入ることも

 細菌が肺に入り込むのは、誤って気道に入りこんだ食べ物や飲み物によってだけではありません。細菌に感染した唾液が誤って気道に入りこんでしまったり、細菌が入っている吐しゃ物を気道から吸い込んだりすることで、細菌が肺の中に入り込むこともあるのです。

誤嚥性肺炎の症状

 通常の肺炎では、咳や発熱、痰のからみなどが見られます。誤嚥性肺炎では、なんとなく身体がだるいことや元気が出ないこと、喉がゴロゴロと音がすること、むせやすくなること等のはっきりしない症状が出ることが多いです。飲み込みにくくなるので食事に時間がかかるようになることもあります。

 このように疾病特有のはっきりとした症状がないため、本人だけでなく周囲も、「調子があまり良くないのかな」程度にしか考えず、病気の発見が遅くなってしまいます。放置しておくと酸素の取り込みが少なくなりますので、呼吸不全や死亡に至ってしまうこともあるのです。

誤嚥性肺炎と診断されたときの治療法

 誤嚥性肺炎だと診断されると、一般的には、肺内に入り込んだ細菌を抗菌薬で死滅させる治療法を取ります。また、すでに酸素の取り込みが悪くなっているときは、酸素吸入も同時に実施することがあります。患者が呼吸を自力で行うことが難しくなっている場合は、人工呼吸器を装着することもあります。

再発を繰り返す誤嚥性肺炎

 誤嚥性肺炎は、何度も再発をくりかえす病気です。再発を繰り返し、その度に抗菌薬による治療を実施していると、抗菌薬に対する耐性菌が体内に作られてしまい、徐々に治療が難しくなっていってしまいます。なぜ、誤嚥性肺炎は再発を繰り返すのでしょうか。

患者の飲み込む力と誤嚥性肺炎の再発

 誤嚥性肺炎は、細菌が含まれた食べ物や飲み物、唾液、吐しゃ物などが、気道を経由して肺に入り込む病気です。通常なら気道に入ったときに吐き出すことができますが、それは飲み込む力が衰えていることが原因となって生じる疾病であるのです。

 飲み込む力の衰えは、加齢とは無関係ではありません。そのため、誤嚥性肺炎に罹患する人の多くが高齢の方ですし、飲み込む力を改善することも難しいので、何度も誤嚥を繰り返し、何度も誤嚥性肺炎を繰り返してしまいます。

疾病罹患に気付きにくいことも再発の多さと関係が

 なんとなく元気がなくなったり食事のペースが遅くなったり等、誤嚥性肺炎の症状の多くが不明瞭で、一見して病気の症状とは気付きにくいことが多いです。そのため、発見が遅れてしまい、症状が進行してから病院に行くことになります。症状が進行してから病院に行きますので、治療もすぐには終わりません。治療期間が長引くため、体力も消耗し、再度誤嚥する可能性も高まってしまうのです。

誤嚥性肺炎の予防方法

 一度罹患すると、何度も再発を繰り返す可能性がある誤嚥性肺炎。しっかりと予防することで、罹患確率を下げたいものです。

誤嚥を防ぐ

 誤嚥性肺炎を防ぐためには、誤嚥そのものを防ぐことが必要になります。飲み込みにくくなる原因としては、加齢以外にも次のような理由を挙げられます。

喉の構造上に問題が認められる場合

 口内炎ができていたり、咽頭炎や扁桃腺炎などの口内や喉を開けにくい病気に罹患していたりすると、誤嚥が多くなってしまいます。また、口内や咽喉部の炎症以外にも、食道に炎症や腫瘍が発生し、飲み込みが悪くなることがあります。治療を速やかに受け、誤嚥性肺炎に罹患しないように予防しましょう。

筋肉や脳の問題により喉を動かしにくくなっている場合

 筋委縮性側索硬化症(ALS)や脊髄小脳変性症、多発性硬化症などの筋肉の動きに問題が生じる疾患に罹患している場合、喉の筋肉もスムーズに動かせくなり、誤嚥を発生しやすくなります。また、パーキンソン病や脳腫瘍などの脳の疾患がある場合も、咀嚼から嚥下がスムーズに行えないようになってしまいますので、誤嚥しやすくなります。

 筋肉や脳の問題で喉が動かしにくくなっているときは、固形物を避けたり流動食を利用したりすることで誤嚥を防ぐことができます。また、身体を動かせる場合は、食事のときは上半身を起こした姿勢を維持するようにし、食べたものが逆流しないように予防することもできるでしょう。

 介助者が少し注意することでも誤嚥を減らすことができます。一回に口に運ぶ量を少量にし、しっかりと喉を通ったのを見届けてから次の食事を運びます。食事が終わった後もすぐに身体を横にしたりベッドを倒したりするのではなく、少なくとも30分間は上半身を起こすようにしてください。

 誤嚥を起こしやすい人は、食事のときは食事に集中するように促すことも必要になります。テレビを見ながらなど、食事以外に集中してしまうことがあると、咀嚼がおろそかになって誤嚥しやすくなってしまいます。

口腔内を清潔に保つ

 誤嚥した場合でも、細菌が気道や肺に入り込まなければ誤嚥性肺炎には罹患しません。口腔内を清潔に保つことで細菌を減らし、万が一誤嚥をした場合でも誤嚥性肺炎に発展する可能性を減らすことができます。

虫歯と歯周病の治療で細菌を防ぐ

 虫歯や歯周病があると、口内が細菌の温床になってしまいます。定期的に歯科検診を受けるようにし、虫歯や歯周病のチェックと治療を行います。歯科検診を実施したときは歯のクリーニングも同時に受け、歯と歯の隙間や歯と歯茎の間にある食べ物のカスや汚れを取り除きましょう。

入れ歯も清潔に

 入れ歯を使用している人は、入れ歯をキレイに保つことでも口内の細菌感染を防ぐことができます。入れ歯は毎日決められた通りに洗浄し、清潔に保つようにしなくてはいけません。

調子が悪いなと思ったときは早めに病院へ

 特に高齢の方は、ちょっとした不調に大きな病気が隠れていることもあります。誤嚥性肺炎もちょっとした不調として症状が現れる病気ですので、「なんだかだるいな」「食べにくいな」と感じたら放置してしまうのではなく、内科や歯科を訪れ、早めに治療を受けるようにしてください。早めに治療を行うことが、病気を長引かせない秘訣でもあるのです。

参照元:ムシバラボ 著者情報
小林 保行 先生
小林 保行 先生

歯科医師 KEY DENTAL CLINIC 院長

歯科医師 KEY DENTAL CLINIC 院長 新潟出身 こよなく新潟を愛しています。 お米と日本酒が大好きです。 運動は、水泳とトライアスロンにはまっています。 花と緑と石油の里、鉄道の街「新津」!という、旧新潟県新津市、現新潟県新潟市秋葉区で田舎の自然にふれて育ちました。

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