日本人の3人に1人が高血圧!その原因、治療方法や予防方法とは?

著者:大塚 真紀
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日本人の3人に1人が高血圧!その原因、治療方法や予防方法とは?

 日本人が好む和食は味噌、醤油、塩で味付けすることが多く塩分摂取量が多いため、日本人には高血圧が多いと言われています。また、食生活の欧米化や移動手段の効率化により肥満傾向にあることも日本人に高血圧が多い原因と考えられています。

 実際にどれくらい多いかというと、日本で高血圧がある人は約4300万人、つまり国民の3人に1人は高血圧です。さらに、高血圧に関連する病気で死亡している人数は1年間で約10万人です。

 血圧とは血管の圧力のことを指し、心臓が収縮した時に最大の圧力となり、これを収縮期血圧(最高血圧または上の血圧)と言います。反対に、拡張した時の最小の圧力を拡張期血圧(最低血圧または下の血圧)と呼びます。血圧はこのことから分かるように心臓の収縮する力と血管の弾力性によって規定されます。つまり心不全のように心臓がうまく働かない病気では血圧が下がり、動脈硬化で血管が硬くなってしまうと血圧は上昇します。高血圧とはこの血管の圧力が何らかの原因で異常に高くなってしまっている状態で、一般的に140/90mmHg以上が何回かの血圧測定で記録された時に診断されます。

 高血圧の状態では、血管が必死にその高い圧力に抵抗しようとするので血管が酷使されて硬くなり動脈硬化が促進し、心筋梗塞や脳出血などの命に関わる合併症を起こすことが分かっています。

 高血圧はサイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれ、大きな症状がないので放置してしまうと、気付かないうちに命に関わる病気が進行している可能性があります。

高齢者高血圧の特徴

 高血圧は日本人の3人に1人という高い確率で発症することが分かりましたが、高齢者における高血圧の占める割合はどれくらいなのでしょうか。具体的には、日本人において65歳以上の60%以上が高血圧と分かっています。

 65歳以上の高齢者における高血圧にはいくつか特徴があります。加齢に伴って血管の弾力性が減少、つまり動脈硬化が進行するため高血圧の合併頻度は高くなると言われています。動脈硬化により減少した主要臓器である脳、心臓、腎臓への血流を保つために血圧が高くなっている可能性もあるので、若い人と同様に安易に140/90mmHg未満に下げれば良いというわけでもありません。

以下に高齢者高血圧の特徴についてまとめます。

(1)収縮期血圧(最高血圧)が上がりやすい

 加齢に伴い動脈硬化が進行しているので、収縮期血圧が上昇しやすく、拡張期血圧は下がりやすいという特徴があります。この結果として、収縮期血圧と拡張期血圧の差が大きくなります。治療を行う時には、年齢に合わせた降圧目標を設定することが大切です。

(2)起立性低血圧や食後高血圧になりやすい

 寝ている状態から起きたり、座っている状態から立ち上がる時には人間の体は圧受容体反射という血圧を一定に保つ反射が起きます。この反射により私たちはすぐに次の行動へうつることができます。しかし、高齢になるとこの反応が遅れるため起床時に立ちくらみがしやすくなります。

 また食後には消化管から血管拡張物質が出て、消化のために消化管の血流を増加させる反応が起きます。この反応により血圧が低下傾向になります。健康で若い人でも食後に眠くなるのは、消化管の血流増加に伴い脳の血流が減少するからと言われています。高齢になるとこの反応に体が追いつかず、食後に血圧低下だけでなく、全身倦怠感、眠気、腹部の不快感、めまい、立ちくらみを起こしやすいと言われています。

 これらの症状を予防するために、ゆっくり行動すること、食後はしばらく横になっておく方が良いと言われています。

(3)白衣高血圧が多い

 白衣高血圧とは病院の診察時に緊張して血圧が高くなる現象です。高血圧の患者さんの20%は白衣高血圧と言われており、収縮期血圧が普段より15mmHg上昇する可能性もあります。

 高齢者においては白衣高血圧が多いと言われているので、診察時で測定した血圧の測定値だけ参考にして治療をしてしまうと普段の血圧が下がりすぎてしまう可能性があるため危険だと考えられています。

高血圧に伴う怖い合併症

 高血圧を放置すると動脈硬化が進行し、脳や心臓、腎臓などの命に関わる臓器に様々な病気を引き起こします。脳の血管の動脈硬化が進行すると脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を起こし、死亡する可能性が高いだけでなく助かったとしても麻痺などが残り日常生活に支障を来します。

 心臓の動脈硬化が進行すると狭心症、心筋梗塞、大動脈解離などを起こします。また腎臓の動脈硬化が進むと腎不全となり、自分の力では尿や老廃物を排出できなくなるため透析治療が必要になります。その他にも目の血管の動脈硬化により眼底出血を起こし失明する可能性や足の血管の梗塞により歩行が困難になる可能性もあります。

高血圧に対する治療法と予防法

 先ほど書いたように高齢者の場合には、動脈硬化により脳や心臓などの主要臓器の血流不足となっている可能性があり、それを補うために血圧が上昇している場合があります。そのため急激な降圧や過度な降圧はかえって合併症を誘発する恐れがあると言われています。しかし、放置することも命に関わる合併症を引き起こす可能性があるので危険です。実際に70歳以上の高齢者に対し、降圧薬により積極的に治療した場合に脳卒中(脳梗塞や脳出血)、心筋梗塞のリスクを30‒50%低下させることが分かっています。

 そのため日本高血圧学会のガイドラインでは、60歳台で140/90mmHg未満、 70歳台で 150/90mmHg未満、80歳台で160/90mmHg未満にすることを推奨しています。

 血圧を下げる薬(降圧薬)には多くの種類があり、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬、ベータ遮断薬、アルファ遮断薬など様々な作用機序によって血圧を改善する効果があります。患者さんの状態や他の臓器の合併症などを考慮し、これらの降圧薬から最も良いとされるものを医師が選びます。まずは少量から始めてゆっくり降圧していきます。

高血圧の予防法

 薬を飲むことに抵抗がある人も多いと思います。高血圧は加齢による動脈硬化だけでなく、食塩の過剰摂取や肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどでも起こります。まずは塩分を7g未満にして、適正体重にするなどの努力をしてみるのも良いかもしれません。そして大切なことは、自宅で血圧を測定することです。自宅で測定した血圧のことを家庭血圧と呼びますが、朝晩決まった時間に測定して紙に記録しておくと良いです。病院やクリニックに行くと血圧手帳という血圧を記録できるノートをもらえます。高齢者には白衣高血圧が多いので、家庭血圧を測定しておくと自分の体調管理だけでなく、医師の診察時もスムーズに診療が進むでしょう。

著者情報
大塚 真紀
大塚 真紀

都内大学医局に所属し、腎臓、透析、内科の専門医を取得し医師としては9年目。大学院では腎不全が心臓に与える影響について研究し学位を取得。現在は同じように医師である夫についてアメリカに在住。アメリカでは専業主婦となり、医療関連の記事執筆を行ったり、子供がんセンターでボランティアをして過ごしている。趣味は旅行や美味しいものを食べることや作ること。日本では忙しくてできなかった料理を毎日楽しく作っている。最近の自信作はバターチキンカレー。

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